

私がいつものように接客をしていると、一人の女の子がお店に来ました。
「いくつ?」と尋ねると、その女の子は「12歳」と答えました。
私はこんな子供が化粧品コーナーに用事があるのかなと思いながら、あまり気にもとめず、他のお客さまの接客を続けていました。ところがいつまでたっても、その女の子は化粧品コーナーから動かず、貼ってあるイメージモデルのポスターをじっと見ていました。
私は少し不思議に思い、なぜずっとここにいるのかと再び話しかけました。
すると女の子は「アイシャドウが欲しい」と答えました。私は、まだ女の子が言っている意味が理解できず、まだ接客の途中だったお客さまのところに戻りました。女の子はうつむいたまま右手を見ていました。良く見ると一万円札を握りしめていたのです。
お客さまの接客を終え、その女の子から良く話しを聞いたところ、実は「お母さんのお誕生日プレゼントにアイシャドウを選びたい」ということだったのです。女の子はプレゼントを買うために、お小遣いをずっと貯めていたそうです。私には、その女の子の純真な気持ちが痛いほど伝わってきました。
私は、その女の子の気持ちを無にしないためにも、一緒にアイシャドウを選びました。
女の子にとって、とても大切な時間だと思ったからです。
一時間後、女の子は走って家に帰りました。
そして何日か後、その女の子はお母さんと一緒に姿を見せてくれました。
お母さんは「娘と一緒にアイシャドウを選んでくれてありがとう。親身になってくださったこと、娘からたくさん話を聞きましたよ」と、わざわざお礼を言いに来てくださったのです!
私は、その女の子との出会いのお蔭で、自分が忘れかけていたたくさんのことを思い出すことができました。
化粧は外見をキレイに見せるためだけのものではなく、化粧を通じて様々な夢やドラマが生まれ、感動を与え、与えられるということを。